現代食でビタミン(副栄養素)を増やそうとすると肥満を助長する

過去に栄養指導だけでダイエットのサポートを試みたことがありました。そのダイエット法とは、やせるために必要な栄養素であるビタミンB2やレシチン、ビタミンC、ビタミンEを多く含む現代食を積極的に合艮べるというものでした。
やせるために必要な栄養素をたっぷり補給し、代謝を上げ、脂肪を燃焼させるということは理論的には全く正しい発想であると考えたのです。
ところがいざフタを開けてみると、患者さんは皆一様に、それも徐々に太ってしまったのです。これは明らかに大失敗です。そこで私は原因を追究すべく、栄養学の勉強を一から始め、前述の現代食の特徴である栄養のアンバランスを知ることになりました。この現代食によるダイエット法の失敗の理由は次のとおりです。

まず、太っていた人がこれまで食べていた食事のバランスは、カロリー10に対しビタミン3であったとします。この場合、エネルギーに変えることのできるカロリーは3までなので、余剰カロリーは10-3=7 。ということで、7が脂肪として蓄えられていたのです。
今まで3だったビタミンを、ビタミンを多く含む食品を摂ることによって5まで増やしました。ところが現代食でビタミンを増やそうとすると、どうしてもカロリーも付いてきてしまいます。
10だったカロリーはビタミンと同様に増え、15になっていたわけです。すると代謝は、カロリー15対ビタミン5 ということで、エネルギーは5 までつくれるようになりますが、カロリーの余りは15-5= 10。つまり余剰カロリーは7から10 になってしまったのです。
現代食でビタミンを増やそうとするとカロリーも同時に増えてしまい、余剰カロリーは7から10 へ。
つまり3余計に太る結果となったわけです。
現代食では食べ合わせが増えれば増えるほど、余剰カロリーも増え、より太ってしまうのです。この現代食の特徴であるアンバランスがある限り、食事による副栄養素の増加だけではカロリーも付いてきてしまい、アンバランスは解消されません。そればかりか、代謝の改善も望めません。
この間題点を克服するためにつくられたのがサプリメントなのです。サプリメントはカロリーを持たない副栄養素で、現代食のアンバランスを解消するために、サプリメントを利用することはとても効果的なのです。
現代人にサプリが必要な理由がこのあたりにあるのです。

現代食は「栄養過剰の栄養失調」になったのか?

現代食を栄養学的に分析してみると、炭水化物、脂肪、蛋白質という3大栄養素であるカロリーは摂取過多で、それを代謝するために必要な副栄養素であるビタミン、ミネラル、ファイバーなどが欠乏しています。
それでは、なぜ副栄養素の失調が現代食に起こったのかを検証していきたいと思います。現代食には昔の食事と違う次の3点があります。

  1. )素材そのものの栄養価の低下
  2. 加工食品(欧米食)の増加(
  3. ライフスタイルの変化

まず、現在、生産されている野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素が、昔と比べると非常に少なくなっています。
よくお年寄りが「昔のトマトはもっと甘くて果物のようだった」とか「キュウリはもっと独特の青臭さみがあった」と言っているのを聞くことがありますが、それは味の記憶として残る確かなものでしょう。
その甘みや苦みにこそさまざまな栄養が含まれていたわけです。
実際に必要とするビタミンを生野菜から摂ろうとしたなら、昔の8~20倍、重さにすると400~500グラムもの量を食べなければならないといわれています。
しかし、このような大量の野菜を毎日皆が食べることは、現実的には不可能でしょう。
とはいえ、素材そのものに栄養価が少なくなっても、野菜や米や魚などを率先して食べていればまだましなのですが、現代食のように肉や抽を中心とした食事では副栄養素を含む素材の利用率も低くなっています。意識して副栄養素を多く含むものを食べている人でも、不足してしまうのが現実です。

さらに、栄養価の少なくなった生野菜を、切って、水につけて、熟を加えるといった料理という加工を施すことによって、副栄養素はさらにそぎ落とされていくのです。

そしてライフスタイルの変化ですが、これにより体内ではビタミンの消費量が、どんどん増加しているのです。社会の変化により私たちにかかるストレスは、身体的なものから精神的なものへと変化しています。

肉体は身体的ストレスには慣れやすく、抗ストレスホルモンの分泌量は回を重ねるたびに少なくなっていきますが、精神的ストレスは逆に回を重ねるほど多くなっていくのです。
このストレスホルモンを生産する際には、多量のビタミンが消費されます。ストレスが身体的なものから精神的なものへ変化している現代は、それに伴う抗ストレスホルモンの分泌量も増え、ビタミンの需要(消費量) も増大しているのです。

また薬を飲んでも、タバコを吸っても、お酒を飲んでも、痛みを感じても、スポーツをしても、水道水を飲んでも、ビタミンは破壊または消費されてしまうのです。

現在と過去のライフスタイルは劇的に変化しています。この変化により、現代の副栄養素の必要量は、日に日に増大しているのです。では、こうした少ない副栄養素の摂取量で、私たちがどのような代謝を行っているのかを説明してみましょう。

例えば、今朝食べた朝食の中にカロリーが10入っていてビタミンが3しか入っていなかったと仮定すると、私たちの体の中で行われる代謝でエネルギーの生産は、理論上ビタミンと同じ3までということになります。
余ったカロリー7は体にさまざまな形で蓄えられ、皮下に貯まれば皮下脂肪に、内臓周辺に貯まれば内臓脂肪に、肝臓に貯まれば脂肪肝に、動脈に貯まれば動脈硬化を引き起こす原因となっているのです。
もしも毎食毎食このカロリー10とビタミン3 のバランスで食事を摂り続けていけば、毎食毎食必ず7が余り続けることになります。
つまりそれが肥満であり、ゆくゆくは成人病をつくることになるのです。摂取したカロリーを効率的に過不足なくエネルギーに変えるには、必ずそれに見合うビタミン摂取量が最低限なければダメです。
カロリーが10ならビタミンは10 以上。これをしっかりと覚えておいてください。現代人の代謝のイニシアチブを握っているのは、不足しているビタミンをはじめとする副栄養素の摂取量なのですから。

痩せも肥満も栄養失調が原因、肥満になるもうひとつの栄養失調について

肥満もやせもどちらも現代の栄養失調

「栄養失調」という言葉を聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか? 多くの人は、難民の子供たちがガリガリにやせている姿を思い浮かべるのではないでしょうか。この難民タイプの栄養失調は、カロリーである3大栄養素(炭水化物、蛋白質、脂肪) と、それを体内で吸収し効率的に利用、貯蔵、排泄に至るまでの、すべてをコントロールするのに不可欠な副栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維など) の両方が不足して起こります。

このカロリーと、それを代謝するために必要な副栄養素の摂取バランスが、私たちの体にさまざまな変化をもたらしているのです。

カロリーの消費(代謝)には、大きく分けて2つの代謝を考えなければなりません。1つは「新陳代謝(基礎代謝と同じ意味)」、もう1つが「エネルギー代謝(運動誘発性のものと食事誘発性のものがある)」です。これらは、どちらも私たちの意思によりある程度コントロールできることが分かってきました。

「ダイエットとは人の生活をより豊かにするために」代謝を自分自身でコントロールすること、つまり意識して実践することをいいます。では何を意識すればいいのでしょうか?
それを知ることが最も大切なことになるので、ここではカロリーと副栄養素のアンバランスから起こるさまざまな栄養失調を、運動の有無により「代謝がどのように行われ」「どのような体型がもたらされるのか」を簡単にシュミレーションしてみたいと思います。

カロリー過多、副栄養素過多の場合

運動によりカロリーをエネルギーに変える際、使用するカロリーに見合った量の副栄養素が必要となる。このケースは運動すればするほど、Aは増えBは減少し、肥満を避けることができる(相対的肥満)。つまり1の場合、運動するかしないかが肥満の有無を決定する。

カロリー過多、副栄養素不足の場合

運動しようにも、カロリーと副栄養素のそろっている所までしかエネルギーに変えることはできないので、Cのラインまでしか運動はできない。たとえCのラインまで運動したとしても、D-A=B の分は必ず肥満となる(絶対的肥満)。つまりⅡの一合、副栄養素の摂取量と運動量が肥満度を左右する。

Ⅰ「カロリー過多」「副栄養素過多」の場合(完全栄養過剰)

カロリーに見合った運動をすれば問題ありません。運動不足の場合は、カロリーと副栄養素と共に使い切れず、両方とも余ってしまいます。そして余剰カロリーは蓄えられ、肥満となります。>>>相対的肥満

Ⅱ「カロリー過多」「副栄養素不足」の場合(現代版栄養失調)

いくら運動してカロリーを使おうとしても、副栄養素が不足しているために副栄養素の分までしかカロリーは消費できません。そのためカロリーは余り、肥満になります。また運動が不足した場合も、当然カロリーは余るので肥満になります。>>>絶対的肥満

Ⅲ「カロリー不足」「副栄養素過多」の場合

無理に運動をすればカロリーはすぐに使い果たされ、体に蓄えられているエネルギーを使うことになります。しかし、その使われる優位順位はブドウ糖、たんぱく質、脂肪の順なので骨や筋肉から落ちてしまいます。骨や筋肉が代謝されている間、脂肪はそのままなので一過性の隠れ肥満になり、その後で完全なやせに陥ります。運動をしない場合もスピードはゆっくりですが、最終的には同じです。

Ⅳ 「カロリー不足」「副栄養素不足」の場合(難民型完全栄養失調)

Ⅲの状態が急激に起こります。これを飢餓とも呼び、死の可能性が高いといえます。

以上の4タイプから、栄養失調にはカロリーが不足する飢餓型栄養失調と、カロリーは摂れていても副栄養素が不足するニュータイプの栄養失調があることが分かります。

このニュータイプの栄養失調は、いくら運動しようにも副栄養素が不足しているために、副栄養素のそろっているところまでしかカロリーをエネルギーに変えられません。
そのためにカロリーが必ず余り、肥満を確実に招いてしまうのです。このメカニズムを知らずにダイエットをすると、例え見た目がスリムになり体重が落ちても、骨や筋肉が減るばかりで体脂肪率は急増し、脂肪だらけの最悪の肉体になってしまいます。そして、ゆくゆくは多くの病気を招くことになるのです。
このカロリーと副栄養素の相関関係を理解したうえで自分の食生活を振り返ってみてください。あなたの食生活はファストフードやレトルト食品、コンビニ弁当、外食などの、現代を代表する加工食品が主になつてはいないでしょうか。
これらの中には、ジャンクフードと呼ばれる、カロリー過多で副栄養素が欠乏した食品類が数多くあります。これらを食べ合わせていると、間違いなくニュータイプの栄養失調により肥満になってしまうのです。
しかし、いくらカロリー過多で副栄養素が不足していても、代謝の末の余剰カロリーを捨てることができれば問題はありません。というのは、このニュータイプの栄養失調による肥満は、人類の過去の食歴が大いに関与しているのです。

人類は400万年前の誕生以来、その大半を飢餓との戦いの中で何とか生き永らえてきました。そのため肉体そのものが飢餓という環境にのみ順応できるように代謝システムを整え、準備するようにななってしまったのです。
つまり、いつ飢餓になっても大丈夫なように、余剰カロリーを体内に貯蔵する代謝システムを持っているために太るのです。
余っていらないカロリーを捨てることができれば、肥満とは無縁であったはずです。ここ数年の問に日本人をとりまく食環境は一変し、世界の先進国同様に欧米食の導入による飽食という新しい環境にさらされるようになりました。
さらに追い討ちをかけるように分かってきたことがあります。
それは日本人が遺伝的に太りやすく痩せづらいという事実です。これは逆にいうと飢餓に順応できる人の数が多いとも考えられますが、飽食の現代ではあだとなり、肥満する人口が増えやすいといえるのです。このことからも現在の日本人は、よりダイエットが必要な民族であるともいえるのです。

しかし心配はいりません。なぜなら遺伝というものは、どんな疾患でも必ず発現するものではなく、周辺環境や栄養が良ければ発症せずに人生を全うすることができるからです。私たち自身の手で肥満を防ぐことはできるのです。それにはまず、己を良く知り、現状を正確に分析してから対策を立てなければならないのです

最後に、食事で摂るカロリーと副栄養素を車に例えると、それぞれガソリン、エンジンオイルに匹敵します。革はガソリンとエンジンオイルを混合し、プラグで着火することにより動力を生み出すが、それと同じように人の休も、カロリーとそれに見合った副栄養素を使って化学反応を利用しATPというエネルギーを作り出し体を動かしている。
基礎代謝量とは、アイドリングの際使われるガソリンの量である。
車の場合、一連の動力発生システムは、電気系統及びコンピューターが制御している。しかし私たち人間の体はさまざまなホルモンが血液を介し、これと同じようなエネルギー代謝システムをコントロールしている。
車も人も共通なのは、人の意志がなければ動かないということ。どこに行くか、どの位のスピードで走るのかなど、すべては自分たちの意思(メンタル) によって決定されるのです。