成功のテンポイント(10)

人の役に立ち続けるためには、どうしたら良いか?オーナーに求められる視点

セオリー1 時代を読み、時代をつくる、それが人の役に立ち続けること

人の役に立つことと同時に、時代を読むことができなければなりません。21世紀は、どんな時代かを自分なりに解釈できなければならないのです。
現在の自分の仕事をオーナーの目で見れば、そのさまざまな将来性や問題点が見つかると思います。これに対し、自分ならどうするかを考えることが大切です。その時、今の自分の会社を時流に乗せるためには、時代を読むことが必要になってくるのです。

21世紀は、パーソナル・コミュニケーションの時代です。今までの20世紀型のコミュニケーションはマス・コミュニケーションと呼ばれ、流通、医療、政治など社会に存在するすべての価値観や情報の流れが一方向性の流れしかありませんでした。流通においては、メーカーから消費者という方向へ、医療においては医療者から患者へ、政治においては政治家から国民へといった具合に。つまりマス・コミュニケーションとは、どういうものかというと、ある1つの情報(1つの製品、1つの医療、1人の候補者)や1つの価値観を大勢の人々(消費者、患者、有権者) に受け入れてもらおうとするものです。

実際それを媒介する所(店舗、診察室、投票所) で行われている情報の伝達、価値観の伝達(販売、診察、選挙)は、1対1で行われています。(1人の店員と1人の消費者、1人の医師と1人の患者、1人の候補者と1人の有権者) が、情報を与える側は、受け手の意思に関わらず1 つの情報で多くの受け手(頭数) を得ようというシステムです。

具体的にいえば、流通に関してはメーカーが作った画一的な製品を店舗を仲介して不特定多数の消費者に流通させるシステムで、医療においては、医師は1人ひとりの患者さんを診ていながら1人ひとりの生活環境や体質、生き方などよりも同じ疾患の不特定多数の患者さん(例えば高血圧、糖尿病の患者さん)というくくりで診察しているのです。

政治においても公共事業で仕事を増やそうと訴えることにより、不特定多数の有権者を得ようと躍起になっています。それぞれ形は違ってもその情報の流れは、一方的なのです。このように一見1対1に見えても、実際は1対多(マス) になっているのです。この形態では、受け手側の意思が全くといっていいほど、その情報や価値観に対し反映されません。製品の満足度は低く、医療においてはインフォームド・コンセントが機能せず、政治においては民意が反映されなくなってしまうのです。それが今の現状なのです。
しかし、このようなマス・コミュニケーションの形態には、無理があることが判明してきています。その決定的欠陥を指摘するものがパーソナル・コンピューターの普及であり、これがまず流通に決定的な変化をもたらしました。
それは、メーカーと1消費者がコンピューターを介し双方向性の1対1 (パーソナル) の、対等な関係を持つことが可能になったからです。つまり受け手側の1人ひとりの力が増し、対等にクレーム(情報)を今までと逆方向に伝達できるようになったのです。
これによりメーカーは、顧客数という頭数(シェア) を増やすよりも1人ひとりの顧客内シェアを高めることに流通の視点を置くようになつた、というよりも置かざるを得なくなつたのです。つまり1対1 で双方向の対話を重ねることによりカスタマイズされた情報、製品、サービスを提供することにより、1人ひとりの顧客の生涯を通じてシェアを高めることに、より力を入れるようになってきているのです。
この顧客内シェアは、顧客の満足度と近似し、このシェアが高まればより多くの収益を得ることができるようになるのです(これで業績を伸ばしているのが、トヨタ自動車といわれています)。1対多(マス) のマス・コミュニケーションの最大の欠陥は、一方向性の融通の利かない自分勝手なサービスであり、双方向の対話により得られる1人ひとりの情報やニーズを引き出せないばかりか、1人ひとりの未来のサポートや生涯を通じた信頼、満足度を引き出すことは難しいといわざるを得ないのです。

時代は、すべての分野において確実にパーソナル・コミュニケーションにシフトしてきています。1人ひとりが自分自身の構造改革をしなければならないのは、時代の要請なのです。そして流通も医療も政治も1人ひとりの国民の未来にお付き合いし、生涯をサポートし続けるものに変えていかなければならないのです。人の役に立ち続けるということは、クライアントの夢の実現(未来)をサポートし続けていくことなのです。「21世紀は、あなたが、あなた自身の責任で、あなたらしく生きる時代」です。共に思い切り生きていきましょう。